私たち国連支援財団がサポートする「国連」についてご紹介します。

【国連入門】

<出典>
国連広報センターウエブサイト(https://www.unic.or.jp/)、国連広報局 [編].「国連のここが知りたい」.国連広報センター,1998年、国連広報センター.「国連のはたらき」を参照し、国連支援財団FSUN総合研究所作成

1.国際連合(United Nations、略称:国連)とは

国際連合(United Nations、略称:国連)とは「国際の平和と安全の維持」を主な目的として1945年10月24日に設立された国際機関です。
国連は第二次世界大戦中の1945年6月に、戦争の惨害を終わらせるとの強い決意のもとに起草された「国際連合憲章(Charter of the United Nations)」の採択をもって成立しました。
その後、中国、フランス、ソビエト連邦、イギリス、アメリカ及びその他の署名国の過半数が批准したことを受けて、国連は1945年10月24日に正式に設立されました。

◎国連は「世界政府」・・・?
国連は主権国家で構成される国際機関であり、「世界政府」ではありません。したがって、国連が命令すれば世界各国が動くという組織ではありません。
国連は世界政府ではなく、法律も作りません。しかし、国際紛争の解決を助けたり、私たちすべてに影響する事柄について政策を決めたりするための手段を提供しています。

UN Photo/Yutaka Nagata
2.国連はなぜできた?

第一次世界大戦後に設立された最初の国際機関である国際連盟は、「国際協力を促進し、平和安寧を完成する」ことを目的としていましたが、第二次世界大戦を防ぐことができませんでした。
国連は、国際連盟の反省を踏まえ、第一次世界大戦・第二次世界大戦のような世界中を巻き込む戦争を三度起こしてはならないとの思いから設立されました。

国連を作ろうという考えは、第二次世界大戦(1939~1945 年)の渦中で生まれました。戦争を終わらせるべく協力していた世界の指導者たちは、平和をもたらし、将来の戦争を防止するような仕組みを作る必要を強く感じていました。指導者たちは、すべての国が世界的な組織を通じて協力すれば、これは実現すると悟ったのです。そして、この組織となるべきものが国連でした。

◎20世紀は“戦争の世紀”
20世紀の間に、戦争によって世界で約1億9,000万人が亡くなったとされます。

UN Photo/Mitsugu Kishida
3.国際連合」という名前の由来

「国際連合(United Nations)」という名前は、アメリカのフランクリン・D・ルーズベルト大統領が提案したものです。
この名前がはじめて正式に使われたのは、1942 年に26 カ国の代表が枢軸国に対して共に戦うと誓った「連合国宣言」(Declaration by United Nations)に署名した時のことでした。

その後1945年に開催されたサンフランシスコ会議では、出席者全員が、国連憲章署名の数週間前に死去したルーズベルト大統領の業績を称え、この名前を採用することで合意しました。

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4.国連憲章とは

国連憲章は、国連の活動を方向づける規則や原則を定めています。
国連憲章は各加盟国の権利と義務、そして加盟国が自ら設定した目標を達成するために何をすべきかを説明する、一連の指針となっています。
ある国が国連に加盟するということは、憲章の目的と原則を受け入れる、ということになります。

◎国連憲章の前文・・・すべての人民が持つ理想と共通の目的を表明
国連憲章の前文は、国連の創設に参加した国々のすべての人民が持つ理想と共通の目的を次のように表明しています。

「われら連合国の人民は、われらの一生のうち二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念を改めて確認し、正義と条約その他の国際法の源泉から生ずる義務の尊重とを維持することができる条件を確立し、一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進すること、
並びに、このために、寛容を実行し、且つ、善良な隣人として互に平和に生活し、国際の平和および安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを原則の受諾と方法の設定によって確保し、すべての人民の経済的及び社会的発達を促進するために国際機構を用いることを決意して、
これらの目的を達成するために、われらの努力を結集することに決定した。 よって、われらの各自の政府は、サンフランシスコ市に会合し、全権委任状を示してそれが良好妥当であると認められた代表者を通じて、この国際連合憲章に同意したので、ここに国際連合という国際機構を設ける。」

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5.国連の目的

国連には次の4つの重要な目的があります。

(1)国際の平和と安全を維持すること
(2)国家間の友好関係を発展させること
(3)国際問題の解決と人権尊重の促進に協力すること
(4)各国の行動を調和させるために中心的役割を果たすこと

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6.国連の原則

国連は次の原則に従って行動します。

  1. この機構は、そのすべての加盟国の主権平等の原則に基礎をおいている。
  2. すべての加盟国は、憲章に従って負っている義務を誠実に履行しなければならない。
  3. すべての加盟国は、国際紛争を平和的手段によって国際の平和および安全ならびに正義を危うくしないように解決しなければならない。
  4. すべての加盟国は、いかなる国に対しても武力による威嚇もしくは武力の行使を慎まなければならない。
  5. すべての加盟国は、国連がこの憲章に従ってとるいかなる行動についても国連にあらゆる援助を与え、且つ、国連の防止行動又は強制行動の対象となっているいかなる国に対しても援助の供与を慎まなければならない。
  6. この機構は、加盟国でない国が、国際の平和及び安全の維持に必要な限り、これらの原則に従って行動することを確保しなければならない。
  7. この憲章のいかなる規定も本質的に国の国内管轄権内にある事項に干渉する権限を国連に与えるものではなく、また、解決に付託することを加盟国に要求するものでもない。但し、この原則は、憲章第7章に基く強制措置の適用を妨げるものではない。
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7.国連加盟国とは

国連加盟国は、国連憲章に定められた目的と原則を受け入れた国のことで、現在は193カ国となっています。
国連発足時の加盟国(原加盟国)は、51カ国でした。日本は1956年12月18日に、80番目の加盟国となりました。

◎国連加盟国になるには?
国連憲章によると、国連への加盟は「国連憲章に掲げる義務を受諾し、かつ、国連によってこの義務を履行する能力があると認められるすべての平和愛好国に開放」されています。それぞれの国の国連への加盟は、安全保障理事会の勧告に基づいて、総会が決定します。

UN Photo/Yutaka Nagata
8.国連本部はどこにある?

国連本部はニューヨーク市のマンハッタン東部にあります。ここはすべての加盟国に属する国際的な領域です。
つまり、国連本部のある土地はホスト国の米国だけのものではなく、国連の全加盟国のものです。

国連は、独自の旗を持ち、敷地内を警備する警備員を雇っています。また、独自の郵便局を持ち、自らの郵便切手を発行しています。この切手は国連本部、またはウィーンとジュネーブの国連事務局から郵便を出す時にしか使えません。

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9.国連の機構とは

国連には、総会、安全保障理事会、経済社会理事会、信託統治理事会、国際司法裁判所、事務局の6つの主要機関があります。

■総会 General Assembly

  • すべての加盟国が代表を送っている国連の中心的な機関です。
  • 各国は、国の貧富、大小にかかわらずそれぞれ1票の投票権を持って、あらゆる問題について討議し、国際の平和と安全、新加盟国の承認、国連予算のような重要な問題は3 分の2 の多数決で決定されます。
  • 通常総会は毎年9月に始まり、その他、特別総会や緊急特別総会が開かれることもあります。

■安全保障理事会 Security Council

  • 国連憲章のもとに、国際の平和と安全に主要な責任を持つ機関です。
  • すべての加盟国は安全保障理事会の決定を実施することに同意しています。
  • 安全保障理事会は15の理事国から成り、そのうち、中国、フランス、ロシア、イギリスおよびアメリカは常任理事国です。その他の非常任理事国は、決められた地域配分に基づいて、総会が2年の任期で選びます。
  • 安全保障理事会は総会と違って定期的に会合を開きませんが、平和が脅かされた場合、いつでも召集することができます。
  • 決議を通過させるためには9カ国の賛成が必要ですが、実質事項の場合、5つの常任理事国のうち1カ国でも反対した場合、これは拒否権と呼ばれ、決議案は不採択となります。

■経済社会理事会 Economic and Social Council

  • 経済・社会開発における国連の活動を策定する機関です。
  • 貧困や飢えで困っている国を助け、すべての国が豊かになることを目指し、貿易、工業化、環境、食料、教育、保健、人権、女性の権利、麻薬、犯罪、社会福祉など幅広い経済と社会の問題を扱っています。
  • 理事国は日本を含む54カ国からなり、任期は3年です。 ・経済社会理事会は毎年7月に、4 週間にわたる実質会期をジュネーブとニューヨークで交互に開きます。

■信託統治理事会 Trusteeship Council

  • 信託統治地域(以前の植民地あるいは従属地域)に住む人々の社会的前進を監督するために設置された機関です。
  • 1994年、それまでアメリカの施政下にあった最後の信託統治地域のパラオが自治を達成したため、信託統治理事会の活動は休止となりました。
  • 今後、信託統治理事会は、必要が生じた場合のみ開かれることになっています。

■国際司法裁判所 International Court of Justice (ICJ)

  • 15名の裁判官からなる国連の主要な司法機関です。
  • オランダのハーグにおかれ、国連の主要機関の中でニューヨークに所在しない唯一の機関です。
  • 国際司法裁判所に提訴できるのは、個人ではなく、国家だけです。
  • ある国がある事件について国際司法裁判所の管轄権を認める場合、その国は、裁判所の判決に従うことに同意しなければなりません。

■事務局 Secretariat

  • 事務総長を最高責任者とする事務局は、ニューヨークの国連本部をはじめ、全世界で活動する国際職員から構成されます。
  • 多岐にわたる国連の日常業務を遂行します。具体的には、平和維持活動の管理から国際紛争の調停、人道援助計画の組織から経済的社会的動向の調査、人権や持続可能な開発に関する調査から国際協定の土台作りにまで及びます。
  • 事務総長は国連の理念を象徴する存在であると同時に、世界中の人々、とりわけ貧しく脆弱な人々の代弁者でもあります。

なお、国連システム全体はもっと大きく、15の専門機関(specialized agencies)と数多くの計画(programmes)や基金(funds)、各種関連機関が含まれます。

国連システム(国連ファミリー)とは?

  • 国連は主要機関の下に、特定の分野を担当する諸計画、基金、その他の機関を設けています。
  • そのほか国連に関連する機関として、15 の専門機関があります。専門機関の活動は国連との調整の上で行われていますが、これらの機関は国連とは独立した機関です。
  • “国連”という場合には専門機関及び関連機関が含まれ、国連とこれら諸機関を総称して「国連システム」あるいは「国連ファミリー」と呼んでいます。
10.国連の予算

国連の通常予算は、総会が承認します。会計年度は2年(※)です。

  • 予算は最初事務総長が提出し、行政予算問題諮問委員会がそれを審査します。
  • 予算の主な財源は、加盟国による分担金です。
  • 分担金は、分担金委員会の勧告に基づいて、総会が承認する分担率にしたがって加盟国が支払います。分担率は加盟国の支払能力に基づいて決まります(全世界の国民総生産に占める加盟国の割合を出し、国民1人あたりの所得など、多くの要因を考慮に入れて調整し決定されます)。

※1974年~2019年、国連の会計年度は2年間でしたが、2017年の国連総会決議を経て1年間の会計年度へと変更することになり、2020年の予算から試験実施段階に入っています。

11.国連の公用語は

国連で用いられる公式の言語は、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語の6 カ国語です。

事務局では英語とフランス語が業務に用いられる言語となっています。
各国代表は、どの公用語でも発言できます。発言内容はその他の公用語に同時通訳されます。
また、ほとんどの国連文書も6つの公用語すべてで発行されます。各国代表は場合により、公用語でない言語で発言を行うことができます。その場合、発言を行う代表団は、いずれかの公用語による通訳あるいは発言の翻訳文書を提供しなければなりません。

UN Photo/Loey Felipe