【注目の国連情報】未来のための協定:世界の指導者が平和と持続可能な開発のための行動を誓う
ー2024.10.1ー
最近の国連活動の中で、今回は、国連ニュースセンターが配信している「UN News」の中から、以下の記事について、そのポイントをご紹介します。
●未来のための協定:世界の指導者が平和と持続可能な開発のための行動を誓う (2024年9月22日)
<要旨>
世界の指導者たちは日曜日、未来の世代のために、より安全で、より平和で、持続可能で、より包括的な世界に向けた具体的な行動を約束する画期的な宣言である「未来のための協定」を採択した。
<概要・ポイント> ※文中の■小見出し及び記事の要約は、国連支援財団による
■土壇場での修正提案にもかかわらず、全会一致で採択
・この協定は、その付属文書であるグローバル・デジタル・コンパクトおよび将来世代に関する宣言とともに、ロシア、イラン、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)、シリアを含む一部の国による土壇場での修正提案にもかかわらず、全会一致で採択された。
・この修正案は、国家主権に関するいかなる問題にも不介入であること、政府間協議を最優先することを求める文言を盛り込むことを目指したもので、事実上、市民社会や民間部門の利益の役割を軽視するものであった。この修正案は、193カ国で構成される総会で否決された。
■未来のための協定
・この協定の5つの広範な重点分野には、持続可能な開発、国際平和と安全、科学技術、若者と将来の世代、そしてグローバル・ガバナンスの変革が含まれる。
・協定では、多国間金融機関や国連自体でさえ、21世紀の問題に対する解決策を模索する上で不十分な点があるため、これが緊急の軸となっている。
・国連加盟国は、この協定を承認することにより、とりわけ以下のことを約束した。
●持続可能な開発目標(SDGs)と気候変動に関するパリ協定を加速させる。画期的なこの2つの2015年の合意は、進展が停滞し、マイルストーンを達成できなかった。
●若者の声に耳を傾け、国レベルおよび世界レベルで意思決定に若者を参加させる。
●市民社会、民間セクター、地方自治体などとのより強固なパートナーシップを構築する。
●平和で包摂的かつ公正な社会の構築と維持、紛争の根本原因への取り組みを強化する。
●武力紛争におけるすべての民間人を保護する。
●女性、平和、安全保障に関する約束の実施を加速する。
■AIの国際的な規制に関する初の世界的合意、グローバル・デジタル・コンパクト
・グローバル・デジタル・コンパクトは、人工知能 (AI) の国際的な規制に関する初の真に世界的な合意であり、テクノロジーはすべての人に恩恵をもたらすべきであるという考えに基づいている。
・この宣言は、デジタル技術が持続可能な開発と人権に貢献することを保証する一方で、デジタル格差、サイバーセキュリティ、技術の悪用といったリスクに対処するための公約をまとめたものである。
・同コンパクトは、デジタル格差を解消し、AI技術が責任を持って使用されることを保証し、AIの能力と安全保障上の脅威の両方に関する世界的な協力を促進することを目的としている。各国政府はまた、AIに関する公平な世界規模の科学パネルを設置し、国連内でAIガバナンスに関する国際的な対話を開始する義務を負う。
■将来世代に関する宣言
・「将来世代に関する宣言」は、将来世代の幸福を確保することに焦点を当てており、意思決定プロセスに将来世代の利益を組み込む必要性も強調している。
・また、環境を保護し、世代間の公平性を促進し、今日の行動の長期的な結果を考慮することの重要性も強調している。
■新たな機会への道を開く「未来のための協定」とその付属文書
・採択後の演説で、アントニオ・グテーレス事務総長は、「未来のための協定」とその付属文書が「新たな可能性と機会への道を開く」と強調した。
・「世界中の人々が、平和と尊厳と繁栄の未来を望んでいる。気候変動の危機を解決し、不平等に取り組み、すべての人を脅かす新たなリスクに対処するためのグローバルな行動を人々は求めているのです」と述べた。
・「彼らは、これらの課題を解決するためには国連が不可欠だと考えています」と続け、「未来サミットは彼らの期待に応える国際協力の道筋を示すものです…さあ、仕事に取り掛かろう」と付け加えた。
■連帯と多国間協力の精神で共に前進へ
・この採択は、ドイツとナミビアが共同で進めた数か月に及ぶ交渉の集大成であった。
・第79回国連総会のフィレモン・ヤン議長は採択後に演説し、各国に対し連帯と多国間協力の精神で共に前進するよう求めた。
「私たちが選ぶ道は、人間の尊厳が尊重され、人権が擁護される未来につながるものでなければなりません。平和が単なる紛争の不在を超え、正義、包摂、公平性に根ざした未来です。」
<国連支援財団担当者より>
国連未来サミットで「未来のための協定」が無事に採択されました。ファシリテーターとしてドイツとナミビアが共同で進めた数か月に及ぶ交渉の集大成であり、持続可能な未来に向けての宣言であるこの採択を心から歓迎いたします。
特に「未来のための協定」により、世界のリーダー達が平和と持続可能な開発のための“具体的な行動” を誓ったところに大きな価値があると思います。
というのは、最新の報告書によるとSDGsのターゲットのうち、現時点で達成に向けた軌道に乗っているのは2割に満たないとのことで、グテーレス事務総長も「行動しない人類」が自ら地球を危機にさらしていると警鐘を鳴らしているからです。
今回、加盟国が「未来への協定」を承認することにより、「SDGsとパリ協定の加速」、「意思決定への若者の参加」、「市民社会、民間セクター、地方自治体などとの強固なパートナーシップの構築」、「平和で包摂的かつ公正な社会の構築・維持、紛争の根本原因への取り組み強化」、「武力紛争における民間人の保護」、「女性、平和、安全保障に関する約束の実施の加速」を約束した点が注目され、これらは2030年に向けての国際社会の大きな軸となると考えられます。
そのような状況にあって、私たち一人ひとりも、持続可能な未来に向けて具体的に「行動」していくことが大切だと思います。
(出所)
国連ニュースセンター「UN News」:「Pact for the Future: World leaders pledge action for peace, sustainable development(https://news.un.org/en/story/2024/09/1154671)」のDeepL翻訳又はGoogle翻訳による日本語訳を基に国連支援財団作成