【注目の国連情報】グローバル教育は、人間性を中心としたAIを統合しなければならない
ー2025.2.7ー
最近の国連活動の中で、今回は、国連ニュースセンターが配信している「UN News」の中から、以下の記事について、そのポイントをご紹介します。
●グローバル教育は、人間性を中心としたAIを統合しなければならない (2025年1月24日)
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<要旨>
国際教育デーを記念して 、アントニオ・グテーレス国連事務総長は、学習は基本的人権であり、個人と社会の成長の基盤であると強調した。
<概要・ポイント> ※文中の■小見出し及び記事の要約は、国連支援財団による
グテーレス国連事務総長は、「教育は、すべての人が潜在能力を最大限に発揮し、社会と経済が成長し繁栄するために不可欠な基盤です」と述べた。また、事務総長は、そのメッセージの中で人口知能(AI)について触れ、「人工知能(AI)などの技術進歩は大きな可能性を秘めている一方、かなりのリスクも伴う」という二面性を強調した。
■AIの将来性とリスク
・国連事務総長は、「AIやその他の技術革新が、情報や高度な学習ツールへのより広範なアクセスを提供することで、生徒や教師に大きな支援を与えることができる」と強調した。「しかし、莫大な利益には、いくつかの恐ろしいリスクが伴います。AI主導システムがさらに強力になるにつれ、人間の意図と機械主導の影響が簡単に一致しなくなる可能性があります」と付け加えた。
・国連の教育・文化機関であるユネスコは、今年、国際教育デーをAIの機会と課題に捧げている。オードリー・アズレ事務局長は、責任を持って活用できるよう、教師と生徒双方の研修へのさらなる投資を求めた。
・「学校でのAI導入が明確な倫理原則に沿って行われる限り、AIは大きなチャンスをもたらします。AIの潜在能力を最大限に発揮するには、AIは学習の人間的側面と社会的側面を置き換えるのではなく、補完するものでなければなりません」とアズレ事務局長は述べた。
■AIの中心にある人権・・・テクノロジーの中心に人間の主体性、人権を据えておくことが重要
・国連事務総長は、AIの可能性を引き出すには「この急速に進化するテクノロジーの中心に人間の主体性、そして人権を据えておくことが重要である」と強調し、すべてのユーザーが「このテクノロジーを賢く、安全に、そして倫理的に」使用するための適切なツールと知識を持つことを保証するよう求めた。
・AIを学習に取り入れる学習者と教師を支援するユネスコの能力フレームワークと、最近採択されたグローバル・デジタル・コンパクト※は、人類がAIの開発とガバナンスを確実にコントロールできるようにするのに役立つと期待されている。
※グローバル・デジタル・コンパクト:デジタル協力と人工知能(AI)ガバナンスに関する初めての包括的な世界的枠組み。2024年9月に開催された国連未来サミットにおいて「未来のための協定」とともにその成果物として採択された。(国連支援財団による補足)
・グテーレス国連事務総長はメッセージの最後に、「どこの国でも、教育システムの中心に人間性を据える」ことへのコミットメントを呼びかけた。
■AIをめぐる分裂
・AIの教育への統合が進む中、その利用については各国で意見が分かれている。ユネスコの最新データによると、高所得国では、中等学校の生徒の3分の2以上がすでに生成型AIツールを活用して学業をサポートしている。
・しかし、教育関係者にはまだ明確なガイドラインがないため、大きな課題が残っている。
・ユネスコが2023年5月に450の教育機関を対象に実施した調査によると、AI利用のための公式な枠組みを持つ学校や大学はわずか10%に過ぎないことが明らかになった。
・同時に、教室での新しいテクノロジーに制限を課す国も増えている。ユネスコが発表した新しいデータによると、学校での携帯電話の使用を禁止する法律や政策がある国は現在40%近くにのぼり、2023年7月の24%から顕著に増加している。
■その他の課題・・・教育へのアクセスと安全性
・国際教育デーは、質の高い教育を受けることは、個人に大きな恩恵をもたらすだけでなく、地域社会全体を向上させる人権であることを思い出させてくれる。
・しかし、何百万人もの子どもたちが、性別、居住地、社会的背景、紛争など、さまざまな要因によって学校に通えないままである。
・ユネスコの最新データによると、数十年にわたる教育の進歩と国際的な約束にもかかわらず、世界で2億5,100万人の子どもや若者が依然として学校に通っていない。
・ユネスコは最近の調査で、学習者のほぼ3人に1人が学校生活中に少なくとも1回は身体的攻撃を受け、10人に1人がネットいじめを経験していると報告している。
・世界中であまりにも多くの子どもたちが学校内外で暴力に遭っており、その影響は壊滅的なものとなり、生徒の幸福、教育成果、生活の質に悪影響を及ぼしている。
<国連支援財団担当者より>
本記事の<概要・ポイント>にもあるように、教育へのAIの導入においては、その可能性や問題点のほか、さまざまな課題が指摘されています。高所得国では中等学校の生徒の3分の2以上がすでに生成型AIツールを活用している一方、現在も世界で2億5,100万人の子どもや若者が学校に通えていないという国や地域間での格差があります。
また、ユネスコの最近の調査によると、多くの子どもたちが学校内外で暴力に遭っており、学習者のほぼ3人に1人が学校生活中に少なくとも1回は身体的攻撃を受け、10人に1人がネットいじめを経験していることが明らかになっています。
教育をめぐる様々な課題はありますが、「学習は基本的人権であり、個人と社会の成長の基盤である」という認識の下、性別、居住地、社会的背景、紛争などによって学校に通えない子どもたちがなくなるように、各国が力を合わせないといけないのだと改めて思います。
(出所)
国連ニュースセンター「UN News」:「Global education must integrate AI, centred on humanity(https://news.un.org/en/story/2025/01/1159381)」のDeepL翻訳又はGoogle翻訳による日本語訳を基に国連支援財団作成