【注目の国連情報】コロンビアで開催された国連サミットで生物多様性のバランスをとる

ー2024.11.5ー
最近の国連活動の中で、今回は、国連ニュースセンターが配信している「UN News」の中から、以下の記事について、そのポイントをご紹介します。

コロンビアで開催された国連サミットで生物多様性のバランスをとる (2024年10月29日)

世界各国の人々がコロンビアのカリ市に集まり、生物多様性を最もよく保護し、人類が自然と調和して生きていくための永続的な青写真を描くための最善の方法を話し合っている。

■スローガンは「自然との平和」・・・国連生物多様性条約第16回締約国会議(COP16)
・コロンビアで開催された国連生物多様性条約第16回締約国会議(COP16)では、 190カ国以上が署名した。COP16は、環境保護の取り組みについて合意するために2年ごとに開催される会議である。
・会議のスローガンは「自然との平和」であり、経済発展は環境を犠牲にすべきではないことを認識している。

※来月アゼルバイジャンのバクーで開催される気候変動に関するCOP29とCOP16を混同しないでください。

■COP16の課題で知っておくべき5つのこと
・カリで取り組まれている問題について知っておくべき 5 つのことを紹介しよう。

(1)国別戦略
・条約に署名したすべての国は、カナダで開催されたCOP15で採択された世界的な計画である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」で示されたさまざまな目標を達成するための計画を策定することを約束している。
・この条約の主な目的は、陸上、海洋、淡水域を含む地球の30%を保護し、10年末までにそれらを保護地域に転換することである。
・さらに、この枠組みでは、熱帯雨林や湿地などの重要な生態系の回復と保護を重視している。
・国連環境計画(UNEP)のラテンアメリカ・カリブ海地域代表兼地域ディレクターのフアン・ベロ氏は、「現在までのところ、計画を提出したのは35カ国にも満たない」と述べた。「このサミットの中心的な焦点は、世界的な枠組みを実施するために各国が提案した目標が、生物多様性の損失を食い止めるという目的を達成できるかどうかを検討することです。」

(2)行動資金:7000億ドル
・生物多様性の保護は安くはない。行動を開始するには約7000億ドルが必要である。
・「現在、年間2000億ドルが必要です」とフアン・ベロ氏は語った。「さらに、食品やエネルギーなどの経済部門では、生物多様性に有害な補助金を転換するために5000億ドルが必要です。」
・生物多様性のグローバルな枠組みを実施するための資金調達モデルは、その成功の鍵である。これには資金源とその管理方法が含まれる。

(3)進捗状況のモニタリング
・カリの参加者はまた、各国の進捗状況をどのように測定するのが最善かについても議論する。
・「これらの国々は指標、測定方法、検証方法について合意する必要があるが、これは非常に複雑だ」とUNEPの専門家は認めている。

(4)遺伝資源の恩恵
・この枠組みには、「遺伝資源」から得られる利益が、その管理者であるコミュニティに公正かつ公平に分配されることを確保することを目的とした、天然資源の持続可能な利用に関する約束も含まれている。
・遺伝資源とは、生物に属するあらゆる生物学的物質で、実際の価値または潜在的価値のある遺伝情報を含むものを指す。
・「この情報は工業的かつ商業的な利用であるため、製薬業界、化粧品業界、食品業界など、産業目的で利用する人々は支払いが可能になると予想される」とフアン・ベロ氏は述べた。
・「この利用によって、この生物多様性の源である国や地域社会に利益をもたらす支払いが生み出されるという考えです。これは非常に複雑な問題ですが、極めて重要です」とベロ氏は語った。

(5)先住民族
・生物多様性条約は先住民の伝統的知識の重要性も認めており、カリの代表団は「生物多様性保全への先住民の貢献が正当に認められるよう、先住民があらゆる認識と条件を得られるよう保証する方法」に焦点を当てているとベロ氏は付け加えた。
・また、生物多様性の保全と回復、持続可能な利用に貢献するアフリカ系住民の役割についても議論されている。

■“生態系を回復する行動が気候危機に取り組む上で不可欠だ”という認識が重要
・「このサミットから得られる非常に重要なことは、生態系を回復する行動が気候危機に取り組む上で不可欠であるという認識だ」とUNEP代表は述べ、「生物多様性と気候変動を直接的かつ明確かつ明白に結びつけることが重要だ」と付け加えた。