【注目の国連情報】UN80イニシアチブ:新たな報告書が国連の組織とプログラム全体にわたる変革案を提示
ー2025.10.15ー
最近の国連活動の中で、今回は国連ニュースセンターが配信している「UN News」の中から、以下の記事についてそのポイントをご紹介します。
●UN80イニシアチブ:新たな報告書が国連の組織とプログラム全体にわたる変革案を提示 (2025年9月18日)

<要旨>
事務総長は木曜日、UN80イニシアチブに基づく構造改革とプログラム再編に関する進捗報告書を共有し、国連の結束力と効果を高め、地球規模の課題への対応能力を強化するための提案を提示した。
<概要・ポイント> ※文中の■小見出し及び記事の要約は、国連支援財団による
報告書『パラダイムシフト:結束して成果を上げる』は、国連の組織構造、機関間の連携方法、運営方法における調整の可能性を概説している。これは、効率化策とマンデート実施レビューに関するこれまでの報告書に続く、このイニシアチブの3番目の主要成果物である。総会ハイレベル週間に先立って発行された本報告書は、加盟国の審議に資することを目的としている。
「これは進行中の作業です」とグテーレス事務総長は序文で述べている。「私たちは、このプロセスの当事者である加盟国と協力し、共通の目標である『我ら人民』に奉仕するためにより結束し、より効果的で、より優れた能力を備えた国連システムを実現するために協力することを楽しみにしています」
■主な重点分野
・提案は、国連活動の三つの柱——平和と安全保障、持続可能な開発、人権——に加え、人道支援活動、柱間連携の強化策、システム全体の推進要因に対処するものである。より少ないサイロ化(※)、重複の削減、そしてより効果的な連携が求められており、80年以上にわたり構築されてきた国連システムは、今日のはるかに複雑な課題に適応しなければならないと指摘している。
※サイロ化:組織やシステムが互いに連携せず、情報や業務が分断されている状態(国連支援財団注)
・以下は、主な重点分野のポイントである。
〈平和と安全保障〉
・平和と安全保障の分野では、事務所と指導層の統合、平和構築および女性・平和・安全保障に関する専門センター(センター・オブ・エクセレンス)の設置、よりスリムで統合された平和維持活動の準備を提案している。
〈人道支援〉
・新たな人道支援協定が提案されている。計画の効率化、グローバルサプライチェーンの統合、共通バックオフィスサービスの拡充、人道外交の強化を図り、1億人以上に対し、より迅速かつ効果的に支援を提供することを目的としている。
〈持続可能な開発〉
・持続可能な開発に関しては、事務総長は、機関の合併の可能性を評価し、新しい共同知識ハブを通じて専門知識を共有し、より大きな効果を得るために地域および国レベルの活動を再編成することを勧告している。
〈人権問題〉
・人権問題については、国連システム全体の活動を調整し、重複を減らすために、国連人権高等弁務官が率いる国連人権グループを設立することを提案している。
〈システム〉
・システム実現要因として、国連システムデータコモンズの創設、技術加速プラットフォーム、統一されたバックオフィスサービス、効率化された研修・研究、プールされた資金と中核資金の強化に向けた改革を強調している。
■次のステップ
・報告書に盛り込まれたこれらの提案は、事務総長の権限の範囲内にあり、直ちに実行可能なものもいくつかある。しかし、そのほとんどは加盟国が実行すべきものである。
<国連支援財団担当者より>
創設から80年を迎えた国連が、今なお新しい挑戦に向けた変革を模索していることに、大きな意味を感じます。今回の報告書は「平和と安全保障」「持続可能な開発」「人権」という三つの柱に、人道支援やシステム改革等を加え、より総合的な方向性を示しています。サイロ化の打破や人道支援の迅速化といった提案は、現場に直結するものであり共感を覚えました。
ただ、実際の実行には加盟国の協力が不可欠で、容易な道のりではないでしょう。
それでも「我ら人民」に奉仕するという原点を胸に、国連と各国が力を合わせて進む姿を期待したいと思います。私たちもまた、その歩みを支える視点を持ち続けることが大切だと感じました。
(出所)
国連ニュースセンター「UN News」:「UN80 Initiative: New report charts proposals for change across UN structures and programmes(https://news.un.org/en/story/2025/09/1165883)」のDeepL翻訳又はGoogle翻訳による日本語訳を基に国連支援財団作成
